モモンガKIMONO羽織は留袖着物の柄を生かし、着物羽織、ショールとして”2way”で着ることができる万能アイテムです。
今回は『七宝つなぎの黒留袖』をリメイクして制作したご依頼品のモモンガ着物羽織についてご紹介致します。
着物データ
【年代】昭和中期
【裏地】正絹:白
【デザイン】ポップな配色の七宝つなぎ、縁取りに金駒刺繍・桐の金泥柄、
【印象】ポップ
【家紋】違い鷹の羽
鷹の羽紋:鷹の勇姿を象徴する美しく強靭な羽を紋章化したもの。菊池家が最初に家紋とした。
引用:家紋の本
ぱっと目をひく元気な配色の七宝つなぎ柄が珍しい黒留袖です。
よく見ると所々ドットのように金泥でプリントが施されていたり、絶妙に金駒刺繍で縁取りされている部分も見受けられ、現代アートのような見飽きない図柄です。
年代をかさねた金箔ははがれやすく、全体に広がることもあるので注意深くクリーニングを進めます。
また、金駒はほどけなどが見つかりやすい装飾なので、くまなく点検してから制作を開始します。
着こなし① 羽織スタイル
留袖絵柄詳細
モモンガKIMONO羽織のお仕立ては裄・丈をお聞きして制作致します。
柄合わせに気を付けながら、全体をご希望の裄に整えますので、着物の大きさによって縫い合わせの線が入る部分が異なります。
ヤケのある着物であれば縫いこみ部分と色が変わってしまったり、厚い刺繍部分に思わぬ負荷がかかったり、どれも個性がありそれぞれ違うので、毎回状態を確認しながらできるだけ良い形に整えていきます。
家紋はすべて外しますので、フォーマルな格の高い場所だけでなく、洋服にも着て頂けます。ショールとして使う時は肩部分に柄が集約するので雰囲気が変わり、様々なシーンで楽しめるのも特徴です。
着こなし② ショールスタイル
裏地とKIMONOclipについて
モモンガKIMONO羽織をオーダーして頂くと、共生地で製作した和遊湘南オリジナルのKIMONOclip1点を納品させて頂きます。
モモンガKIMONO羽織は肩がないショールの要素が強い羽織物なので、フロントのみで固定するためにはしっかりとしたバネが必要です。
KIMONOclipを初めてご利用頂く場合、思ったより硬いので驚かれるかもしれませんが、薄く滑りやすい襦袢のような生地もしっかりと固定し、傷つけないようにこのサイズでお作りしております。
以前はKIMONOclipの先端パーツにはカニカンを使用しておりましたが、強度とデザイン性をさらに重視し、センターパーツが小さく、線形のディティールになりました。
モモンガKIMONO羽織の前立てにはボタンホールや印がなく、止める位置も自由です。
ギターにはフレットがあるのに対し、三味線にはないように、はじめは難しいと感じるかもしれませんが、ご自身で着やすい位置を見つけて頂ければ幸いです。
おすすめポイント
モモンガKIMONO羽織の記述ではいつも書かせて頂きますが、畳んで小さくなるのも魅力です。
着物同様に畳んでたとう紙にいれて保管して頂けますし、持ち運びにも便利です。
正絹の魅力は軽くて通気性に富むこと。KIMONOclipの項目だけを読むと、モモンガKIMONO羽織は重たいのかな?
と感じるかもしれませんが、肩が無いので滑る力があるという意味合いが強く、重量があるわけではありません。
袷の着物は胴裏や八掛がありますが、裏地をすべて襦袢地にすることにより、この軽さが実現します。
縫い代がかならず背中心に来るわけではないので、着る時の目安にもなるようにリバーシブルのアイテム以外はタグをおつけしております。
また、共生地の端切れを使いサービスとしてKIMONOclip収納用の巾着をお作りさせて頂いております。
毎回、お客様からのご依頼品である留袖を開くのはとても楽しみな瞬間です。
制作された時代によって絵が違い、それぞれ被ることのない創意工夫のこらされた贅沢なデザインの宝庫です。今回はお母さまがお召しになっていたお着物を仕立てさせて頂きました。
お客様からのコメント
お母さまがこの着物を着ている写真を見つけ、思い入れのあるお着物が蘇り嬉しく思う、という旨のコメントを頂戴致しました。
眠っていたお着物が蘇る時には、想いだされる記憶もあり、お届けした際にとても嬉しいお声がけを頂くことが多くございます。オーダーメイドだからできること、その一助として携わらせて頂けることは大きな喜びです。
ご依頼随時受付中です。お気軽にお問合せ下さい。