帯地から作った帽子の特徴
帯には様々な種類がありますが、光沢やハリがあるもの、豪華な刺繍、伝統的な織り方のものなど、個性的なものが数多く見つかる面白い素材の宝庫です。スタイリング用に何か個性的な帽子は作れないかなと眺めていた時に、ふと刺繍の繻子帯が目にとまりました。
以前にも帯を使ってベレー帽を制作したことがあるのですが、この繻子帯はその時のものよりも格段に硬く、厚地のものでした。
桐紋を使っていた歴史上の人物と聞いて思い浮かべるのは誰ですか?様々いるかと思いますが、そのなかに『豊臣秀吉』がいます。秀吉は桐紋のデザインを年代によって使い分けており、五三桐を使用していたのは信長に仕えていた頃ともいわれています。
また、この頃の人物で後世にも語り継がれる文化人といえば『千利休』がいます。商人であり茶人であった利休ですが、ふとその肖像画を思い浮かべました。
あの黑くて台形の頭巾(利休帽・茶人帽ともよばれるそうです)教科書などでも見たことがあると思います。ここでこの帯と利休の肖像画がぽっとつながったのです。
出来上がった帽子
こうしてrikyuが生まれました。無地や全通柄の場合はその限りではありませんが、お太鼓柄の場合、帽子のトップ・サイドに柄の部分をとりますと、2つしか制作できません。
そのうえで繻子の黒帯となりますと、懇意にしている着物の仕入れ屋さんに聞いてみましたが、入手しにくい傾向にあるそうです。
リメイクといってもやはりその状態は気になるもので、着物であっても帯であってもできるだけ状態の良いものを使わなくては販売するものにはできません。
そのうえで、帯などは特に使用されたものは汚れがでやすいので、今後も制作できるかどうかは生地との出会いによります。
そんなわけで、和遊湘南では黒の繻子帯で作った幅広のベレー帽をrikyuと名付け、販売しております。
ご紹介した刺繍の入ったものは『新しい帽子ができたら教えてね』と言って下さっていたお客様のもとに旅立っていきました。制作数に限りがあるため、ネットに出す前に売り切れることもあります。
販売中デザイン
現在販売中のものは無地タイプの他にもいくつかありますが、やはりシンプルな黒が人気です。
帽子にタッセルや友禅の絵柄部分を使用して作った大きめ着物地タッセルブローチなどをつけて頂くことで、お好みにカスタマイズして頂けます。
生地の状態(硬さや光沢など)はその時々で違いますことご了承ください。
帽子のブリム部分は調節可能となっており、頭回り56~62cm程度の方に対応しております。
余談ですが、デザインを見て気に入って頂き『小さくは作れませんか?』とのご要望がありまして、頭回りが小さい小顔の方用のパターンも制作済みです。ご用意がありますのは、53~57cmの方向けのサイズです。
その他にもピッタリのサイズなどお探しの方、頭が小さくてサイズの合う帽子に巡り合えないというご相談もお気軽にどうぞ。
利休と秀吉の最後については諸説ありますが、歴史的な因縁の部分ではなくモチーフからの連想ということでお楽しみ頂ければと思います。
現在はモダンなデザインの帯や夏物の生地で新しいデザインが作れないかなと思案中です。今回は帯の模様が運んでくれたデザインのお話でした。