実家の仏壇の掃除を手伝うと傍らの手製の本に目が行きました。
父が退職後、何かまとめるようなことを言っていたのは知っていますが、
実際に目にしていなかったので母に確認。
パラパラめくって、なるほどきちんとした性格の父らしくもあり、
全く知らなかった青年期の様子が垣間見えます。
修学旅行~
薄い物と、厚い物の2冊、装丁は革、
軍に召集された昭和19年12月頃から教育を受けた様子や、
終戦後仕事に戻り、労働組合運動にも係わった様子や、
母と出会い、親に許しをもらう記載など、
その時々に詠んだ詩や交わした手紙の様子などもあり、
私にとってはドラマのようにも感じました。
~~~~以下記載より
12月24日
昨日は日記をつけなかった、日記は回顧よりも反省に重点があるように思う。また個人の歩みもまた興味のあるものである。しかし今の日記は「個人の日記」と言いきれぬ「初年兵の日記」である。○○(父の苗字)という衛生二等兵の兵営生活が如何に営まれたかが刻明・・・・に記されて行かねばならない。
× × ×
12月29日
~略~
あと2日で24歳になる。
感慨無量・・・
これは12月生まれで22歳になったばかりなのに数え年で言う時代の表現ですね。
1月1日
~略~
新年を迎え衣服を取り替え神詣でなどをすると、感激したような何となく改まった気持ちになるのだが、兵営の正月は本当に何の変哲もなく、これが新年かと思う気になる。しかしそれでいいのかも知れない、お正月だ、お祭りだと騒いでいては戦い(いくさ)にはならない。すべてを超越して日々の生活の中に、御楯としての喜びを反映してこそわれわれの務めがあるのだ。・・・・透徹せよ・・・
2月28日
本が読みたい
まだ読み残した本が気になる
萩原朔太郎のはいいな 朔太郎のものならなんでもいい
頭一杯 腹一杯 読みたい
読み残した本が気になる
× × ×
教育が終わったら薬物化学を勉強してみたいと思う。
いままでは科学の方面の趣味しかなかったが、やはり化学・科学は並行しなければ駄目だろう、
衛生兵になったら特に必要なようだ。
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全部の最後に1994.7.16記とありますので、
自分の若き日の日記をまとめたのは21年前と思われ、
まだワープロの時代にまとめていた様子が偲ばれます。
実はその3か月後の10月に交通事故にあい、
4か月間目を覚ますことなく、翌年2月に72歳で逝ってしまいました。
自分で完結させちゃったのかなと今更ながら思います。
母の手伝いで久しぶりに片付けた事から思わず目にした父の若き日の記録。
孫たちにも見せますね、おじいいちゃん・・・(合掌)
今日は年末掃除により目にした手製本のご紹介でした。
本日もご来店頂き有難うございました。