13th Discover the One Japanese Art 2025 in Paris 出展記念
手仕事が宿す記憶と、着物の命を未来へ繋ぐために——
和遊湘南は、日本の伝統と再生の美意識を纏う装いとして、黒留袖やアンティーク布を用いたリメイク作品、オリジナルの和装小物を創作しています。このページでは和遊湘南と展示作品についてご紹介します。
※本ページは、パリ展出展に伴う 展示作品紹介(第2弾) です。
出展決定と和遊湘南のブランド紹介については 第1弾ページ をご覧ください。
Artist|和遊湘南について
着物を楽しみ、和を遊ぶ。

和遊湘南(wayoushonan)は、神奈川県・湘南地域を拠点に活動する着物リメイクブランドです。
古布の物語を受け継ぎ、ひとつひとつの作品に新たな息吹を与えることを理念とし、「日常の中に宿る和の芸術性」を提案しています。
黒留袖や振袖、アンティークの反物を用い、装飾的でありながらも実用性のあるコートや羽織、小物へと再構成。
素材そのものの力を引き出すデザインと、繊細な手仕事により、和洋を問わず纏える一点物のアートピースが生まれます。


Featured Works|出展作品
KIMONOclip(キモノクリップ)



着物地から生まれた、和装と洋装をつなぐ新しいアクセサリー。
KIMONOclip(キモノクリップ)は、帯留めや羽織留めのような役割を果たす、平型ブローチ型のクリップです。金具の裏には目立たないシリコンゴムが施されており、大切な布地を傷つけることなく装着できるのが特徴です。
このKIMONOclipは、和遊湘南の着物リメイク一番人気のアイテム「モモンガKIMONO羽織」シリーズに添えるために考案されました。羽織を留める道具が少ないという声に応え、共布で仕立てた留め具として生まれたのが始まりです。
着物生地の表情をそのまま閉じ込めたコンパクトなフォルムは、装いの中で主張しすぎることなく、さりげない“和”のアクセントに。共布スヌードや羽織との組み合わせで、より統一感のあるコーディネートが楽しめます。



制作背景
「羽織をもっと自由に楽しみたい」「ストールやショールの留め具にも使いたい」――
そんなお客様の声から生まれたKIMONOclipは、和装の装飾性と洋装の実用性を融合させた、和遊湘南の“装いの再生”という思想を体現したアクセサリーです。
1点1点、手縫いやパーツの取り合わせまでこだわり抜いて制作され、天然石のチャームやお仕立てするアイテムに合わせて残布から最適な部分を使用するなど、バリエーションも豊富。1つとして同じもののない、唯一無二のアクセントピースです。
- ブローチの土台部分には着物生地を使用しております。
- アンティークな風合いの透かしパーツの上に、1点づつ手作業のワイヤーワークで天然石などを散りばめています。
- 共生地で制作することによって、装飾品としての一体感をプラス。
今回は、和遊湘南オリジナルのKIMONOclipから販売用に制作されたアイテム6点を展示しています。ぜひ会場でその質感と存在感をご覧ください。
淡水パール × グリーンアベンチュリン|芽吹き


春の芽吹きを感じさせるさわやかな白地に葉の柄のアンティーク縮緬を土台に制作。12mmのグリーンアベンチュリンの周りには4~6mmの淡水パールをあしらい、その上に透かしパーツの蝶が飛びます。アンティーク風パーツと天然石をワイヤーワークで丁寧に仕上げたアイテムです。ブローチの連結に使用する地羽織紐もバロックパールと淡水パールです。
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黒縮緬 × 淡水パール ×オニキスシリーズ




黒留袖や喪の着物で使用される黒の縮緬生地を土台に使用したシリーズ。アンティーク調の透かしパーツの上にそれぞれ小さな蝶のパーツや蓮の花を思わせるパーツを組み合わせて制作。天然淡水パール白と染パールを用いた花をイメージした「アゲハ蝶(画像2番目)」のつなぎパーツにはセンターパーツに夜光貝を使用。ブローチ2点とつなぎパーツ1点で作る世界観を胸元で楽しめるようなデザインです。
和遊湘南とキツネ
白狐に宿る、祈りと創造の物語
和遊湘南の作品には、しばしば「キツネ」をモチーフとした帯飾りやイラストが登場します。
それは単なる装飾ではなく、日本古来の稲荷信仰に根差した意味をもつ存在です。
キツネは古来より、稲荷神の使いとして信仰され、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全を願う象徴とされてきました。
その姿は、神前に祀られる霊獣でありながら、民間の暮らしにも深く根付いています。
和遊湘南では、このキツネを「再生と護りの象徴」として捉え、現代の装いにそっと寄り添うかたちで作品に取り入れています。
平塚八幡宮と奉納された“着物狐”
2020年から、神奈川県・平塚八幡宮で開催される「ぼんぼり祭り」に和遊湘南は「着物狐」という特別なイラストを奉納しています。
和装と信仰をつなぐ新たな表現として制作されたこれらの絵は、境内・諏訪社前・本殿前に掲出され、多くの参拝者の目に触れました。
着物狐のシリーズは“古い着物に宿る物語”を現代に伝える象徴として、和遊湘南の作品世界の中でも重要な存在となっています。


天然石を提灯に見立てた「お守り提灯狐シリーズ」

現代の暮らしに宿す、小さな祈り
和遊湘南が手がける狐モチーフの帯飾りやアクセサリーには、可愛らしさとともに、神社に参拝するような静かな祈りの気配が宿っています。
装う人の背中に、そっと寄り添い、護り、晴れの日も日常もそっと見守る存在として。今回は着物の帯回りを飾るアイテム帯飾り6点をご紹介します。


手元に下げた天然石を提灯に見立てたシリーズ。12か月の誕生石、淡水パールなどのシリーズで展開しています。原画のイメージを忠実に軽量ポリパテで削り出し、サフで整えて原型を作成したのちレジンキャストとして1点づつ形だしして整形しています。タッセル飾りは筆をモチーフにした薄墨、水引きと紅白、黒白飾りなど様々です。



アニメーション作品などでも人気の狐面をモチーフにしたシリーズは白い面に赤い隈取が映えるベーシックなスタイルから、夜空や宇宙をイメージした黒に金の隈取のものまで展開しています。帯飾りとしての装飾なので、帯に沿うように裏面は平らに処理されています。
上段上から順
▶ 購入ページで詳細を見る お守り提灯狐 きつねの帯飾り / 薄墨グラデーション、お守り提灯狐 淡水パール 、帯飾り 白狐面、帯飾り 金黒狐面
日本の伝統、家紋モチーフアイテム
日本独自の「家」を表す紋章文化

家紋について
家紋とは、日本において古くから用いられてきた「家」の象徴となる紋章です。
貴族や武士の時代には、旗や衣装、道具に家紋を記して「家柄」や「血筋」を示し、身分や所属を表すものとして発展しました。
やがて、武家のみならず庶民の間にも広まり、江戸時代以降は婚礼や冠婚葬祭、法事などの礼装においても重要な役割を果たすようになります。とくに留袖や喪服には、五つ紋・三つ紋などが付けられ、家の格式や儀礼の格を表すものとして今日まで受け継がれています。

意匠の意味と美
家紋は図案化された自然物や動植物、幾何学模様などから成り立っており、単純なデザインながらも象徴的な意味が込められています。
たとえば「丸に橘」は繁栄、「桐」は高貴、「鷹の羽」は勇猛、「菊」は長寿や皇室とのつながりを示します。1000種類を超えるとされる家紋は、日本固有のミニマルな美の結晶とも言えるでしょう。以下のアイテムは貸衣装などにも使われる代表的な家紋であり、誰でも正装として身に着けて良い代表格の桐紋を使用したオニキスと丸に五三桐の帯飾りです。
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現代における“個”の象徴として

現在でも和装において家紋は格式のある装いとして残っていますが、その格のイメージが強い為、普段着物では敬遠されてしまうシチュエーションもあります。
和遊湘南では普段着物にもアクセサリーとして取り入れやすいよう、家紋を現代的に再解釈しています。こちらは狐の半面をイメージしたオリジナルレジンパーツと、日本独自の伝統である組紐で作られた菊結びタッセルを組み合わせたデザインです。
お客様からお預かりしてお仕立てする1点物の着物リメイク作品制作の際も、想い出として家紋を取っておくことができるように様々なデザインをご提案しております。
和遊湘南では、この日本固有の意匠を、装身具や帯飾りの中に新たなかたちで取り入れています。
家を示す記号としての家紋から、“個”や“願い”を映す象徴としての家紋へ。
日常の中にさりげなく、そして誇りをもって身につける――そんな現代の装いのための表現が生まれつつあります。
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日本と雀(すずめ)
身近で、愛されてきた小さな守り神
雀は、日本においてもっとも身近な野鳥のひとつでありながら、古くから豊かな意味を持って親しまれてきた存在です。
民家の軒下や神社の森に巣を作り、人々の暮らしのそばで四季を告げてきたその姿は、「里すずめ」として古典文学や絵画、民話などにも多く登場します。

吉祥の象徴として
その小さな体で群れをなして飛び交う様子は、「家族の団らん」や「商売繁盛」「繁栄」の象徴とされ、特に江戸時代以降は、吉祥文様や着物の柄、蒔絵のモチーフにも多く使われました。
「雀千声(すずめせんこえ)」という言葉があるように、にぎやかで愛らしい声は、にぎわいと幸福を呼ぶものとしても捉えられています。
現代における“ささやかな福”として
都市化が進んだ現代でも、朝の光の中で鳴き交わす雀たちの声は、日常のなかにある自然の気配を思い出させてくれます。
小さな鳥ながらも、確かに地域の風景の一部として存在し続けるその姿には、“変わらないもの”への安心や懐かしさが込められています。


和遊湘南の「里すずめ」は、江戸時代の浮世絵師・歌川国芳の作品『里すずめねぐらの仮宿』から着想を得て制作されたアクセサリーシリーズです。
本シリーズは、minne × 2020「The UKIYO-E」企画の一環として発表されました。
歌川国芳の浮世絵『里すずめねぐらの仮宿』に描かれた愛らしい雀たちに着想を得て、2WAYタッセルチャームや帯飾りを展開しています。原型から成形された雀は、一点一点手描きで絵付けされ、羽根の模様や表情にも細やかな技が宿ります。



日傘飾りやバッグチャームとしてもお使いいただけるよう設計されており、着物姿にはもちろん、洋装にも自然となじむ、小さな福のかたちです。(非売品)
Exhibition|展覧会概要
- 展覧会名:13th Discover the One Japanese Art 2025 in Paris
- 会期:2025年4月26日(土)~30日(水)※4月27日(日)休廊
- 会場:Espace Cinko(12-18 Passage Choiseul, 75002 Paris)
- 時間:11:00〜19:00(※初日は13:00開場)
- 主催:Qualiart
フランス語版ガイドはこちら→https://wayou.info/fr-wayoushonan-paris2025-guide-des-oeuvres/