
夏生地反物から作った長羽織セットアップ制作
お客様より、サラリと個性的に装える袖なし長羽織のご依頼を頂きました。初めてのデザインの場合まずは1、2着ほど作ってみて実際に着てみるようにしています。
マネキンに着せているだけではわからないこと、運動量やつれの出てくる部分などを知るにはこの方法がわかりやすいからです。柄だし、袖開きやスリットの長さ、見返しなどの仕立てについて悩みますが、一見シンプルに見える長羽織、洋風要素も入れて考えるとなかなかに難しい宿題になりました。
柄の詳細

今回夏着物地としてサンプルで使用したのは透け感のある燕と竹柄の絣風ポリエステルの新生地です。
この反物は思いのほか腰が強く跳ね返りもあり縫いずらい点もありましたが、パンツにはこのしっかり感が良かったように思います。普段は主に正絹を使用しているので、勝手が違うものだなと勉強になりました。
- 織り目が付きにくい
- シワにならない
- 艶がない
- 通気性に乏しい
着物でのスタイリング









直線で構成されている形の場合は衿こしなど、素直に癖がつくこともデザイン要素の一つです。
また、今回使用の生地は正絹のようなしっとり感、艶感があまりないのでごくカジュアルな仕上がりになります。直線的なデザインは生地の力を感じる良い機会でもあるなと改めて感じました。
洋服でのスタイリング






大まかなデザイン要素の構成とサイズ感の確認をしたあとは、実際にスタイリングして着る形を想像します。
1点の作りこみに集中するあまり仕上がった時にどういうスタイリングで着たら良いのか?この提案が見えない服になってしまう事がまれにあります。「机上の空論」にならないように、制作中からできるだけスタイリング込みで考えるようにしています。
この生地の場合は柄と相まって、素朴な仕上がりになってきたので、抜け感を作るためにサイドスリット、大き目のアウトポケット、バックリボンなどをつけてタテの流れに動きが出るように変更していきました。
追加要素については生地によって違ってきます。衿ぐりの抜きが強かったので、お客様用の制作ではこの点は要修正します。
パンツは絹襦袢地で総裏仕立てにしたので透ける心配もなく、また滑りも良くなり着心地は抜群です。化繊は着た時に肌あたりがあまり良くないものもあるので、夏向きのアイテムでも絹裏地はオススメです。

マスクも共布で制作。ここからは外出用に自分の欲しかったアイテムなんですが、和風のビックバッグを合皮で作ってみました。サンドカラーをバイカラーで使い、あずま袋から着想を得たシルエットにお気に入りの要素である帯締めの絹組紐をデザインして合わせました。
大きいバッグはデザインとしてはインパクトがあるものの、使い勝手が悪くなりがちなのでサイドポケットも付けました。もう少しブラッシュアップして販売予定です。





バッグは受注制作にする予定なのでご希望のカラーなどがある方はお気軽にお問合せ下さい。
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