この記事ではマスクの形状と使用布地による制作難易度を★3つまでの評価として記載します。
また、マスク制作におけるオススメの副資材について追記しました。ハンドメイドでマスクを制作する際にヒントになることがあれば幸いです。(2022年2月 詳細加筆中)
マスク形状の難易度レベル
難易度★ 平面布マスク(フィッシュクリップ)
平面のマスクは洋裁に慣れていない方でも比較的簡単に制作できます。フィッシュクリップを使えば縫わずに制作することもできます。
特に簡単なのはFS-2-10Cを使ったタイプです。
使い方はこの記事に記載しています。
難易度★ お手軽立体形状マスク
こちらも簡単ですが、裁断に手間がかかります。
誰にでも作れる形は無いか考え、和遊湘南で一番最初に提案したのがこのデザインです。
ご自宅のプリンターでDLして使えます
難易度★★センターパーツ立体形状
和遊湘南で販売用しているマスクの基本形状と同じタイプです。ノーズ部分、口内部分を立体形状にするためにワイヤーを入れる場合や、ステッチ箇所によっては難易度が上がります。
当方制作物はノーズワイヤーを入れて制作していますが、布製品では入っていない物も多いようです。
★★★ 大臣マスク
センターパーツを上下パーツで挟むタイプの3枚構造デザインで、2022年不織布マスクとして最もよく見る形状の1つです。
立体的に分割することによって、一体成型では補いにくい鼻・顎部分への密着度が高く、隙間の出やすい個所を確実に減らせます。デザイン的にもおしゃれです。
芯、裏地などの工程をどの程度いれるかによっても変わりますが、やや縫製難易度が高いので、手軽にハンドメイドしたい場合には不向きです。
アイロンは必須なので、道具もある程度揃っている必要があります。
正絹・ニット・ガーゼを使った表地と裏地の使用感
★★レベルの縫製で紹介した布マスクのデザインを、いくつかの布地を使用して制作しました。
ここからは布地による使用感の感想です。サンプル制作用だった為、正絹生地などのマスク制作としてはあまり一般的ではない生地も含まれています。ご了承ください。
①表:正絹/裏:ガーゼ(ノーズワイヤー入り)の使用感
正絹は光沢がありクールな印象になりますが、洗濯のあと自然に乾かすと縮んだりシワになったりするのが難しい素材です。マスクは洗わないという選択肢はないので、マスクカバーとしての使用であればデザイン性は高いです。
様々な色の正絹ちりめんがあります
裏面にガーゼを使用したい場合、ガーゼ素材にも柔らか物や麻混紡で固めのものなど、色々あります。
厚みも様々なので、画像のみで購入するのは非常に難しい素材の1つです。ダブルガーゼは肌あたりはいいですが、口周りにまとわりつきやすく熱がこもりやすい印象もありますので、夏より冬向きの素材です。
②表裏:やわらかい絹
肌あたりはが最高に気持ち良い素材。寝る時、のどの保湿効果を期待するならオススメです。形状保護が難しいことや、口のディティールがしっかりわかってしまうため、中にフィルターを入れる等強度を増す必要があります。
絹は滑りやすく縫いずれが起こるため、縫製難易度もやや高くなります。特に薄手のものになると糸調子、針番手、圧力をしっかり調整しないと針目が崩れやすいので、手間がかかります。
針はミシンによって使えるものが違うので、工業用・家庭用どちらのミシンか確認してから購入して下さい。(針の差し込み形状が半円の物と全円のものがあります)
家庭用/工業用どちらが必要か確認してください
薄物を縫ってみたい方
針は薄手用(7~9番)を使用。絹糸を使用すると光沢もあり、生地になじみます。
一般的な厚みのものは11番針に#60番の糸と覚えて下さい。薄手の物を縫うときは、圧力を通常より少しゆるめに設定してみてください。同時にボビンも調節します。ハトロン紙などを挟むと縫いやすくなります。(あまり厚い紙は外すと糸がゆるみますので注意)
シャッペスパンなら#60番が幅広く使えます
好きな量だけ使えるロールタイプが使いやすいです
作図にもロールタイプがおすすめです。
文化服装学院 購買部の通販にはそこでしか扱っていないプロ仕様のアイテムもそろっているので、欲しい物が大手サイトで見つからない場合などに使うと便利です。最近リニューアルしてサイトが見やすくなりました。
③表:天竺ニット/裏:ガーゼ(フィッシュクリップ)
薄手天竺ニットとガーゼで制作。フィッシュクリップFS-2を使った紐を使用。
手入れのしやすさや、部屋着、普段着など気負わず使えてオススメなのが表地をニットにするタイプ。
縫いずれが少ないため、裁断・縫製ともにスムーズにできる点もオススメです。また、洗濯後もシワになりにくいので比較的丈夫で、長く使うことができます。
参考画像は、フィッシュクリップにグログランリボンを通して少し大人な感じに仕立てたデザイン。
グログランリボンは丈夫で摩耗しにくいだけでなく、色も豊富です。自分用にしっかりとサイズを決めると、伸縮性のないタイプでも十分長時間の使用に耐えますので、ゴムで耳が痛くなってしまう方は試してみて下さい。
組み合わせによって別のデザインも作れます
厚み分を考慮してエイトカンより少し細い物を選んでください
④表:絹/裏:ガーゼ(上下バイヤステープ)
表を絹、裏をガーゼで作り、上下をバイヤステープで叩いて制作
上下をバイヤステープで叩いたタイプ。ゴムが不足していた時期に考えたものですが、テープを上下に配置することによって上部分、下部分を別々に引き締めることができ、顔の大きさや耳の位置に左右されにくいところも意外と実用的でした。
この画像では絹を使用していますが、この形でも制作にオススメなのは裁断、縫製がしやすく形状保持が期待できる1mm以上の厚みのあるニット、TCブロード等です。裏地は薄めのコットンなどがオススメです。バイアステープはニット、綿どちらでも合うものを使用してください。
ニットバイアスは柔らかいので縫う時に伸ばさないように注意が必要
挟みこんで縫う時はピン打ちを丁寧にすると針目を落としにくいです
マスクを制作する際に押さえておきたいポイント
マスクは鼻部分と顎部分が密着している形状が望ましいです。ハンドメイドで制作する場合はサイズの変更ができるので、拡大縮小しながら自分に合うサイズを見つけて下さい。
密閉力を高めるノーズワイヤーについて
鼻部分の密閉力を高めたり、口部分の形状保有を高める為に期待できる素材がノーズワイヤーです。不織布マスクの鼻部分には入っている場合が多いです。ノーズワイヤーの市場での名称は『プラスチック芯材』です。
メーカー別に呼称があり、国産で有名なものは『コテイシーナ』『テクノロート』あたりで、どのメーカー品もそれぞれ厚みや形状保持率が違います。テクノロートは細い透明ワイヤー状のものもありますので、画像などをよく確認し、幅の太さに注意して下さい。
オススメのアイテムは『テクノロート4mm巾』
なかでもテクノロートはかなり優秀で気に入っている素材です。一時品薄になっていましたが、安定した供給に戻っています。
プラスチック芯材と銘打った素材を様々使用してみましたが、海外製のものは十分な形状に変形せず、元に戻る反発力がある為形状保持率が低い印象のものが目立ちました。
国内工場品と記載されていたものも悪くはありませんでしたが、テクノロートほど柔らかさが無い印象でした。
4mmがマスク用ノーズワイヤーにむいています
使ってみて面白かったノーズワイヤー素材
アルミ製のノーズワイヤーは、すごい密着力があります。実際に使ってみて、もしかするとテクノロートより形状保有力があるかもしれないと感じましたが、パキっと折れるような感触もあるので、耐久度については検証中です。
耳が痛くなりにくいオススメのゴムと新素材
2022年の追記パートです。最近使ってみて良かったゴムがあるので紹介します。
ダイヤモンド型のマスク(韓国マスク、大臣マスク、ギョーザなど呼び方が色々ある)が気になって、こちらの製品を購入させて頂いたところ、ゴムを含めて新しい素材を試すことができました。
ゴムについては実際触ってみた感じ、柔らかすぎず良い感じのテクスチャーで気に入りました。色も沢山あるので、子供用やファッション重視のマスク制作にオススメだと思います。
自分で作れるダイヤモンドマスクキット
耳が痛くなりにくく、カラフルなところが気に入りました
使ってみたかった素材
専用の道具が無くてもアメピンを使って通すことができます。やわらかく、多少伸縮しますが穴が大きく無いので、通常の平ゴムとは相性が悪いです。