和と金魚の融合が人々を魅了した2019年の花魁ナイト。劇団荒城 荒城 蘭太郎(こうじょう らんたろう)さん演じる花魁の写真と共に会場の様子をレポートします。
アートアクアリウム展の歩みとコレド室町について
生きた金魚の巨大水槽と、和の風情を楽しめることで毎年大人気の【アートアクアリウム】展。これまではコレド室町のワンフロアを使って開催されていましたが、2019年には2階建ての専用施設が建築され、常設展として開業しました。
新たな展示内容や新作水槽だけでなく能楽堂なども設置され、能面の展示などもあり、日本文化の発信基地としても期待されているスポットです。
期間中トレードマークとして人気の提灯には夏の風物詩、蚊取り線香のキンチョーもお目見え。コレド室町へはJR三越前駅 / 新日本橋駅から直結でアクセスできます。
駅直結なので、天候に左右されることなく着物でもお出かけしやすいスポットです。
プロジェクションマッピングの様子
この時期コレド室町眼前の道はプロジェクションマッピングが華をそえ、夕暮れ時からは幻想的な空間が広がります。会場のイメージに合わせて浴衣や着物で来場される方の姿も多く、タイムスリップしたような感覚を覚えます。この場所はタクシーをはじめとする車の往来がありますので、撮影の際は十分にご注意ください。
金魚という品種について
金魚は中国で緋色のフナ(ヒブナ)が改良されて生まれたもので、人の手によって人工的に生まれた魚です。また、室町時代に日本に渡来してきた金魚は当初贅沢品であり、本格的なブームが起こったのは歌川国芳の「金魚づくし」が描かれた幕末頃だと言われています。
金魚水槽の魅力
アートアクアリウムの展示は現代アートとしての側面が強いため、器である水槽と金魚の相性・審美性が見どころで、魚の展示がメイン水族館とは趣旨が異なります。会場名物の巨大水槽にはそれぞれ和をモチーフとした固有の名称がついています。
この水槽の名前は【花魁】で、アートアクアリウムを代表する作品です。高さは2.4m直径は2m、生きた金魚1,000匹が水槽を彩る作品です。画像のように、円形の上部にフリル飾りがついた水槽は、一般的に金魚鉢と呼ばれるデザインです。ガラスのものは吹きガラス、宙吹きという技法で作られます。
下記の浮世絵などでもわかるように、かつて高級品であった金魚は次第に庶民にも浸透し、日本人に親しまれるようになりました。現代の日本においてはスミにおけない夏の風物詩です。
アートアクアリウムのこれから
アートアクアリウムは企画展から始まりましたが、現在では常設展示となり、それぞれの水槽は現代アート作品同様に収蔵されていて、季節によって展示内容が変わります。花魁、大奥の他に竜宮城というテーマも加わりました。
花魁ナイトとは?
花魁ナイトとは、アートアクアリウムの期間中に行われる特別興行で、大衆演劇【劇団荒城】の荒城蘭太郎さんが花魁に扮して豪華な装束で舞を魅せる催しです。チケット購入制の人気の演目です。
筆者はこの日着物で出かけたのですが、劇団の熱心な応援団の皆様が「着物の方、こちらどうぞ座ってください」と気さくにお席を空けて下さり、【劇団荒城】についてもお話下さいました。
普段はどんな場所で公演を行っているのか、チケット代についてなどワイワイと教えて下さり、それも含めて賑やかで楽しい時間でした。劇団荒城さんはいつもはお芝居中の写真撮影を禁止のところ、今回はOKとのことで良い機会に観劇できました。
会場内の様子
入口でドリンクチケットを引き替えます。持ち運びに便利なビンタイプの他に紙コップタイプなどもあり、アルコール・ソフトドリンク各種が用意されています。展覧会としてはめずらしく、飲みながら気軽に観覧ができます。(食事の提供無し)
ステージは展覧会の会場内を使用し、水槽などの展示物を背景として演目が行われます。
大衆演劇とは
一般大衆を主な観客とする娯楽性を重視した演劇のこと
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
劇団の主催者を座長とし、ごく近しい血縁者によって構成されている数名~数十名の劇団のことを大衆劇団といいます。その名物はゴージャスな衣装とも言われ、金糸、銀糸をふんだんに使った大衆演劇ならではの女形はひときわ人気を博しています。大衆演劇には女性の役者さんが在籍しているのも特徴です。
荒城 蘭太郎さんについて
荒城 蘭太郎(こうじょう らんたろう)さんは、1995年4月11日生まれ、B型
劇団荒城オフィシャルホームページ(http://kojyo.net/member.html)
父は座長の荒城真吾さん、ご兄弟は兄の貫太郎さん、月太郎さん、弟の虎太郎さんです。
可愛らしい面立ちで、花魁の豪華な衣装にもひけをとらない華やかさを感じます。
1つ1つの所作が美しく、またとない幻想的な背景との相乗効果でどこを切り取っても絵になります。
いくつかのシーンで構成されており、衣装チェンジもあります。打掛をとって寂し気な表情で舞う姿は愛しい相手を待ち恋焦がれた遊女の様相で、迫真の舞でした。
蘭太郎さんが舞い終わると会場内が拍手に包まれ、マイクを手に取って一言。生演奏の太鼓と三味線のお二人についても長いお付き合いの師匠方であるとご説明されていました。マイクを持つと気さくな青年に早変わり。まさに役者ですね。
特に衣装に期待を膨らませて花魁ナイトに足を運びましたが、結果として満足のいくものでした。テレビなどのモニターを通さず、至近距離であの豪華な衣装を纏った役者さんが舞う姿を見られるのは贅沢な時間です。
今年からは能楽堂でのパフォーマンスも加わり、和を伝える新しい施設となったアートアクアリウム日本橋常設会場。次に来場する機会が楽しみです。
おまけのお話、素敵なご縁がありました
アートアクアリウムからしばらくして、予想外の嬉しい出会いがありました。
コロナ禍においては外出もままならない日々で、涼をとりたい気持ちから過去の写真を眺めつつ、皆様にも美しいものをお裾分けしたい気持ちからこんなツイートをしました。
その1日後のことです。和遊湘南が制作物を販売しているハンドメイドサイトから商品購入通知が届きまして、開いたところそのお宛名がなんと…【劇団荒城】様!!これにはかなりビックリ。
まさかあのツイートを見てショップをのぞいて下さったのかな?等々いろんな事を想像しましたが、ツイッターってすごいなぁなどと勝手に思っておりました。
これはせっかくのご縁だと、勇気を持ってご購入者様である劇団荒城(@gekidan_kojyo)の「葉月千代」様にこの一連の流れをお話させて頂いたところ「うちの蘭太郎をご存知でしたか!ありがとうございます!」とのご返信。
聞けばそのショップサイトのユーザーで、今回たまたまうちのアイテムをご覧頂きご注文下さったんだそうです。ツイート関係ありませんでした(笑)それにしてもタイミングってあるんですね。なんだかとても嬉しい気持ちになりました。
※ご本人の了承をえて内容を記載しております
メッセージや評価のありがたさ
使って頂いている姿をSNSなどで見るのは楽しくて励みになります。
そして今回はこんな形で、沢山の人のもとに表現によって豊かさを与えている方のもとに届きました。
自分の制作物を作品というのはおこがましいですが、この作品があってこれを作った、このイメージからこれが生まれた…そんなループが現在まで繋がっていると思います。
昨年見た花魁ナイトは間違いなく自分の血肉となって、作るものに反映されています。これからもまた、美しいものを沢山見て自分なりに形にしていきたいなと思える出来事でした。
劇団荒城の皆様におかれましては、コロナ禍の中公演が延期になったり本当に大変だと思います。この状況が落ち着いたら見に行きたいなと思っています。
ご購入頂きました【菊満開のモモンガ着物羽織】いつかどこかで着姿をお目にかかれたら嬉しいなと思いつつ、おまけのお話でした。
夏限定の金魚のアイテムのご紹介
毎年夏限定で金魚玉のアイテムを制作しています。レジンの透明な玉の中に金魚の泳ぐシリーズは、メインのブルーグラデーションのものから、シンプルなモノトーンタイプのものまで様々。
帯飾り、ピアスなどがございますので、よろしければご覧下さい。(期間外は展示または非公開です)