
2020年の8月で14年目を迎える大人気の【アートアクアリウム】展。今年は2階建ての専用施設が建築され、常設展が開業します。新たな展示内容や新作水槽だけでなく、能楽堂なども設置され、日本文化の発信基地としても期待されています。和と金魚の融合が人々を魅了した2019年の花魁ナイトに行った時のお話を、菊満開のご縁を添えて写真メインでお届けします。
会場となるコレド室町の外観

生きた金魚の巨大水槽と和の風情を楽しめるアートアクアリウム、2019年まではコレド室町のワンフロアを使って開催されていました。今やトレードマークとなった金魚の提灯、キンチョーのものもあります。

この時期コレド室町の【現代と和の融合した佇まい】に、提灯やプロジェクションマッピングが華をそえ、非常に幻想的な空間が広がります。

写真スポットとしても最高ですが、普通に車の往来があるビジネス街でもありますので、アートアクアリウムの為に初めて訪れる方は驚かれるかもしれません。
会場内の様子

入口でドリンクチケットを引き替えます。持ち運びに便利なビンタイプの他に紙コップタイプなどもあり、ライブハウスのドリンク引き換えに近いシステム。アルコール・ソフトドリンク各種ありますのでデート向きかもしれません。会場のイメージに合わせて浴衣で来場されているカップルの方も多く見かけました。
水槽の魅力

会場の水槽にはそれぞれ名称やモチーフなどがあり、水族館とは趣旨が異なります。アートアクアリウムの展示は生きた現代アートとしての側面が強く、器も重要な役割を担っています。名物となっている巨大水槽にもそれぞれ固有の名前がついています。

この水槽の名前は【花魁】です。アートアクアリウムを代表する作品で、高さは2.4m直径は2m、生きた金魚1,000匹が水槽を彩ります。
花街と花魁と金魚
「金魚はなぁ、川に戻すと三代でフナになる。
安野モヨコ原作/蜷川実花監督 映画「さくらん」
美しくいられるのはびいどろの中だけなのじゃ。」
写真家の蜷川実花さんがメガホンをとった2007年公開作品である吉原を舞台とした映画「さくらん」。ご覧になったことがある方も多いと思います。この映画の中にこんなセリフがありますが、吉原を描いた浮世絵の中にも金魚の水槽を見つけることができます。今花魁と金魚と検索すると、概このアートアクアリウムの作品である巨大水槽【花魁】がでてきます。今回改めてこの記事を書くにあたって金魚と吉原、花魁についての史実におけるソースを探してみようと思ったのですが、残念ながらこれという根拠のある書見は見つけられませんでした。ただ、漠然と金魚≠花魁というイメージがあります。映画のセリフや美術、またこのアートアクアリウムの印象による部分も大きいのではないかと感じます。
- 金魚は中国で緋色のフナが改良されて生まれたもの
- 人の手によって人工的に生まれた魚
- 川に放つと色素が黒に戻ることがある(先祖帰り)
金魚は風水の本場である中国ではお金が貯まる縁起物としての側面もあります。そういったことから、吉原でも金魚が飼われていたのかもしれませんね。花魁と金魚の関係性については引き続き調べてみようと思います。

籠の中の鳥とはよく言いますが、金魚も人工的に作られた美しい生き物という点など、花街から出ることは叶わなかった花魁達を連想します。この水槽は上段と下段があり、花魁の階級までもアートとして落とし込んでいます。

花魁ナイトとは?

花魁ナイトとは、アートアクアリウムの期間中に行われる特別興行で、大衆演劇【劇団荒城】の荒城蘭太郎さんが花魁に扮して豪華な装束で舞を魅せる催しです。チケット購入制で、2019年に初めて拝見致しました。
ローチはこの日着物で出かけたのですが、劇団の熱心な応援団の皆様が「着物の方、こちらどうぞ座ってください」と気さくにお席を空けて下さり、【劇団荒城】についてもお話下さいました。普段はどんな場所で公演を行っているのか、チケット代についてなどワイワイと教えて下さり、それも含めて賑やかで楽しい時間でした。



普段はお写真がNGとおっしゃっていたかと思います。この日は撮影OKということもあり、来場の皆様それぞれにスマホや一眼レフカメラを手にシャッターチャンスを狙っていました。立ち居振る舞い1つ1つの所作が美しく、またとない幻想的な背景との相乗効果でどこを切り取っても絵になる状態。カメラに収めるだけではもったいないので肉眼でもしっかり見たい気持ちと、撮影チャンスを逃したくない気持ちで葛藤しました。美の大暴走により眼が大忙しになるので数回見るのがオススメ。

いくつかのシーンで構成されており、衣装チェンジもあります。打掛をとって寂し気な表情で舞う姿は愛しい相手を待ち恋焦がれた遊女の様相で、迫真の舞でした。

蘭太郎さんが舞い終わると会場内が拍手に包まれ、マイクを手に取って一言。生演奏の太鼓と三味線のお二人についても長いお付き合いの師匠方であるとご説明されていました。マイクを持つと気さくな青年に早変わり。まさに役者ですね。

特に衣装に期待を膨らませて花魁ナイトに足を運びましたが、結果として満足のいくものでした。テレビなどのモニターを通さず、至近距離であの豪華な衣装を纏った役者さんが舞う姿を見られるのは贅沢な時間です。今年からは能楽堂でのパフォーマンスも加わり、和を伝える新しい施設となったアートアクアリウム日本橋常設会場。8月28日よりスタート予定なので、次に来場する時が楽しみです。
フラグ回収!菊満開のご縁って何?

さて、タイトルに書いた「菊満開のご縁」一体なんだ?という話なんですが、まったく予想外の嬉しい出会いがありました。毎日暑い日が続き、このコロナ禍においては外出もままならない日々です。涼をとりたい気持ちから過去の写真を眺めつつ、皆様にも美しいものをお裾分けしたい気持ちからこんなツイートをしました。

その1日後のことです。和遊湘南が制作物を販売しているハンドメイドサイトから商品購入通知が届きまして、開いたところそのお宛名がなんと…【劇団荒城】様!!これにはかなりビックリ。まさかあのツイートを見てショップをのぞいて下さったのかな?等々いろんな事を想像しましたが、ツイッターってすごいなぁなどと勝手に思っておりました。
これはせっかくのご縁だと、勇気を持ってご購入者様である劇団荒城(@gekidan_kojyo)の「葉月千代」様にこの一連の流れをお話させて頂いたところ『うちの蘭太郎をご存知でしたか!ありがとうございます!』とのご返信。聞けばそのショップサイトのユーザーで、今回たまたまうちのアイテムをご覧頂きご注文下さったんだそうです。ツイート関係ありませんでした(笑)それにしてもタイミングってあるんですね。なんだかとても嬉しい気持ちになりました。
※ご本人の了承をえて内容を記載しております
どんな方に買って頂けたのか?多くの場合それを知れるのはメッセージや評価のみです。使って頂いている姿をSNSなどで見るのは楽しくて励みになります。そして今回はこんな形で、沢山の人のもとに表現によって豊かさを与えている方のもとに届きました。作品というにはおこがましいですが、この作品があってこれを作った、このイメージからこれが生まれた…そんなループが現在まで繋がっていると思います。
昨年見た花魁ナイトは間違いなく自分の血肉となって、作るものに反映されています。これからもまた、美しいものを沢山見て自分なりに形にしていきたいなと思える出来事でした。劇団荒城の皆様におかれましては、コロナ禍の中公演が延期になったり本当に大変だと思います。この状況が落ち着いたら見に行きたいなと思っています。ご購入頂きました【菊満開のモモンガ着物羽織】いつかどこかで着姿をお目にかかれたら嬉しいなと思いつつ。

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